第72回《1998年1月より通算166回》 日本酒と料理を楽しむ会
2011年6月22日開催

飲み干した銘酒・稀少酒と 「酒徒庵」の料理



今月は、広島・安芸津町から名門「富久長」にお出でいただきました。
74年に西条町など4町が合併して誕生した東広島市は、吟醸酒のふるさとという一面を持っています。

西条には昔から蔵が集り、醸造が盛んでした。そこへ、酒造技術研究の代表機関である「酒類総合研究所」が東京滝野川から移転し、ますます酒どころとして発展したのです。
その西条の南隣り、瀬戸内に面した小さな待ちが安芸津で、多くの杜氏を輩出し西条の酒造りを支えてきました。

明治の中期、今の吟醸造りが確立されたと言われますが、大きく貢献したのが安芸津出身の三浦仙三郎。仙三郎が認められ、後輩杜氏を育て、第1回の品評会から審査員を務めるなどしたため、広島の酒が金賞の常連となっていったのです。
その吟醸酒のふるさとにあリ、仙三郎に鍛えられたのが、「今田酒造本店」です。
残念ながら、今は東広島市を名乗らなければいけないわけですが、『山の西条と、海の安芸津では酒質が違う。広島杜氏の本家の流れを汲む、安芸津ならではの吟醸酒を味わって欲しい』と、地酒にこだわり続ける蔵です。

現在の今田酒造と言えば、女性杜氏の先駆けとして知る人ぞ知る蔵。今回はその、今田美穂さんにお出でいただき、その杜氏がこだわるお酒をたっぷりと味わいました。
そのこだわりとは、酒米「八反草」。広島の酒米と言えば「八反錦」が有名ですが、そのルーツが八反草で絶えて幻の米と言われていたそうです。それを今田さんが十数年かけ、米の栽培から復活させ、富久長の杜氏として納得できる造りまで育成してきました。まさに、広島の地酒です。
そのラインナップをずらりと揃え、今田さんの解説でゆっくりたっぷり楽しみました。


<酒選テーマ>
蔵元を囲む「富久長」幻の八反草  今田酒造本店   酒選:今田美穂杜氏

出品酒(右から)

乾杯のお酒
●「純米吟醸 活性おりからみ 白美(はくび)」(瓶内二次発酵の発泡酒)
対照として、
●山田錦のお酒「純米吟醸 中汲み槽しぼり 」

●「純米大吟醸 八反草50 22BY」(精米歩合50%)
●「純米大吟醸 八反草40 22BY」(精米歩合40%)
●「純米吟醸 八反草 19BY 」(精米歩合 麹50% 掛60%)※幹事の勝手評:19BYはいい!
●「純米吟醸 八反草 22BY」(精米歩合 同上)※参加者の独り言:22BYは、19BY以上に化けるかも!?
●「純米酒 八反草75 22BY」(精米歩合75%)
●「辛口夏吟醸 プラスX」(日本酒度+10の辛口吟醸酒)

 今月の会場は 干物と牡蠣料理「酒徒庵
  

冷鉢「冬瓜、床節、蛸の柔らか煮」

刺身「初鰹のたたき」

先付「五島蛸のマリネ
酢肴「小肌、茗荷、生姜、山芋、若布、胡瓜」
焼魚「鰆の新緑焼き、はじ噛み」

食事「冷やし梅素麺」
(2011年6月22日水曜日開催)

今田美穂杜氏。この会としては12〜13年前、広島まで空路蔵巡りツアーを敢行した折り、今田酒造にもお邪魔し、それ以来になります。
わざわざ東京まで、ありがとうございました!

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