
今月は、椿阪酒撰人のよる「福島の旨い酒」を楽しみました。
東日本大震災では、多くの酒蔵が被害を受けました。
福島も例外ではなく、地震で煙突が倒れたり、土壁が崩れたり、タンクが倒れてしまったりと
多かれ少なかれほとんどの蔵が被害を受けています。
なかには津波で流されてしまった蔵もあります。
それにもまして、取り返しのつかない重大な被害を受けたのが東電の原発事故です。
警戒区域に入ってしまい戻るに戻れない蔵もあります。風評被害でも苦しみました。
でも、福島の酒蔵は決して負けてはいません。
昨年5月に行われた「24酒造年度の全国新酒鑑評会」で
金賞受賞酒が一番多かったのが福島県! (26点)
避難地区にある蔵のなかには、会津や山形県で造りを再開している蔵もあります。
今、福島の蔵元は震災を乗り越えようと頑張っています。
そんな美味しい福島の酒をを飲むことで、少しは応援できたでしょうか?
<酒選テーマ>
「福島の旨い酒を楽しむ」 酒撰:椿坂信弥
出品酒(写真右から)
●鈴木酒造店 長井蔵〔山形県長井市〕「磐城壽」山廃純米原酒
1830年頃創業、海に日本一近い酒蔵として有名だったが震災津波で全壊。原発から20キロ圏内なので、
再興もできず。運良く県試験場に預けていた酵母があったので、廃業しようとしていた山形の蔵を引継ぎ、
若き蔵元杜氏鈴木大介さんが中心となって山形で今は造っている。山廃系が得意。
●喜多の華酒造場〔喜多方市〕「蔵太鼓」純米辛口+10 生(新酒)
大正8年1919年創業「星正宗」を造っていたが、戦時の企業整理令で一旦廃業。
喜多方一の酒を目指して「喜多の華」と改名、1956年に復活。
「蔵太鼓」の辛口純米は日本酒度+10という会津らしからぬ酒だが、飲んでみると、、、。
●山口〔会津若松市〕 「会州一」純米 生原酒「初しぼり」(新酒)
1643年創業、会津藩御用として栄えた蔵だが一度廃業し、19BYから少量高品質の酒造蔵として再開した
●曙酒造〔川沼郡会津板下町〕「天明」参号 おりがらみ生 24BY
1904年創業、曙を造ってきたが、杜氏制を止めたのを機に「一生青春」と改名。
2011年から5代目(予定)蔵元の鈴木孝市さんが杜氏を引継ぎ、酒米精米酵母などの組合せにこだわった
「天明 中取り」シリーズ(零号から伍号)をラインナップに投入。
●玄葉本店〔田村市船引町〕「あぶくま」純米吟醸 雄町
1823年創業、他業種勤務を経て蔵に戻った8代目蔵元玄葉祐次郎さんが“蔵元が飲みたい酒”を造るため、
17BYから杜氏制を廃止して自ら杜氏となって地元の人と造りに取り組む。
名水阿武隈山系の伏流水を使って200〜300石を醸している。
●花泉酒造〔南会津郡南会津町〕「一ロ万(ひとろまん)」初しぼり無濾過生原酒(新酒)
大正9年1920年創業。戦前の倒産を経て地元有志によって再興。地元の人水米にこだわっている。
「花泉」はすべて、もち米四段仕込み。「ロ万」シリーズは、「うつくしま夢酵母」を使った
純米酒(会津産米)だが、先入観を持って欲しくないと精米歩合など公開していないため、普通酒扱い。
●会津錦〔喜多方市〕 「会津錦」本醸造 無濾過生原酒「こでらんに」24BY
江戸時代に創業も大火で資料が全焼、明治元年創業としている。代表銘柄は「会津錦」。
高齢化した杜氏集団を引き継いだ6代目(予定)蔵元の斉藤孝典さんが若い蔵人と新しい酒造りにチャレンジ。
「こでらんに」は会津言葉で堪えられないの意。一般米を60%まで磨き、滓(おり)引きも濾過もしない本醸造酒
●豊国酒造〔石川郡古殿町〕「一歩己(いぶき)」無濾過純米生原酒(新酒)
1830年ころに創業、代表銘柄「東豊国」、南部杜氏自醸清酒鑑評会で2期連続主席受賞するなど高い技術力。
「一歩己」は“若き蔵人”矢内賢征さん(9代目予定)11年に立ち上げたブランド
●松崎酒造店〔岩瀬郡天栄村〕「廣戸川」純米吟醸 初しぼり 生原酒(新酒)
明治25年1892年創業、震災で体調を崩した南部杜氏に変わって
7代目(予定)蔵元の松崎祐行さんが杜氏となって新しい酒質を求めている
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