第207回《1998年1月より》 日本酒と料理を楽しむ会
2014年11月26日開催

飲み干した「白山菊酒」認定酒、そして「きの字」の料理



今月は、「白山菊酒」を特集しました。

白山菊酒(はくさんきくさけ)とは、
日本酒で初めて、「原産地呼称制度」の認定を受けたお酒です。
原産地呼称制度とは、WTO世界貿易機構で定められたグローバルな認証制度で、「地理的表示」などとも言われます。
言わば、食品分野の“世界文化遺産”みたいなもの。もちろん“遺産”ではありませんが、
その土地に伝統的に受け継がれた製法や特産原材料が使われていることが認定条件。
認定された地名は、知的財産権とも連動し、認められた商品以外、世界の誰もが使うことができない条約です。
ご存知のところでは「ボルドー」「シャブリ」「コニャック」。食品では、ハムの「プロシュート・ディ・パルマ」、チーズの「パルミジャーノ・レッジャーノ」などもそうですね。
日本では焼酎が先行し、「壱岐焼酎」など4銘柄が認定されています。

石川県白山市に生きる蔵元(5蔵のみ)が、「白山菊酒呼称統制機構」を05年8月11日に創立。
この加賀の菊酒を育んで来た自然に感謝するとともに、
清酒醸造の担い手としてその伝統の技と技能に磨きを重ね、
清酒業界の発展と未来への伝承という責務を果たす事を使命としています。

この認定酒の特徴は
毎年4月と9月に認証審査会を行い、厳しい審査基準をクリアしたものだけが「白山菊酒」を名乗れること。
酒質、タイプ、製造方法などがそれぞれの蔵元により香り、味わいに特徴があることが白山菊酒の特徴です。
それぞれに白山菊酒最大のコンセプトである「こく豊かで品格ある風味」を備えたものばかりです。
認定された酒は瓶のいずれかの部分に「白山菊酒認定証 HAKUSAN KIKUSAKE」のシールを貼られます。

白山菊酒呼称統制機構を構成する清酒製造業者
金谷酒造店(銘柄「高砂」)
菊姫 (銘柄「菊姫」)
小堀酒造店(銘柄「萬歳楽」)
車多酒造(銘柄「天狗舞」)
吉田酒造店(銘柄「手取川正宗」)

今回の企画・酒撰は、古くからこの会でお世話になっている利酒師・料飲専門家 山本和芳さんにお願いしました。



<酒選テーマ>
「白山菊酒を 味わい尽くす」  企画:山本和芳

【出品酒】(写真左から)

① 萬歳楽 菊のしずく 吟醸
酒母:速釀、原料米:山田錦 精米:55%、16度、酵母NK7,K9 日本酒度+5 酸度0.9 アミノ酸度1.5 25BY
特徴:凛とした切れ味、滑らかな口あたりとまろやかな旨みが調和するスマートな味わいの吟醸。

② 天狗舞純 米大吟醸
酒母:山廃、原料米:山田錦 精米45%、16度未満、自社バイオ酵母 日本酒度+4 酸度1.6 アミノ酸度1
特徴:山廃仕込みによる、豊かな味わいと熟成した香りの純米吟醸。濃い色調も特徴の一つ

③ 山廃仕込 純米大吟醸 手取川
酒母:山廃、原料米:山田錦 精米:45%、16.5度、酵母金沢系 日本酒度-1 酸度1.4 アミノ酸度1.2 25BY
特徴:高度精白米を使用する大吟醸にあえて山廃仕込みで挑戦した純米大吟醸。低温でじっくりと熟成させ盛夏を越え、秋口を迎えた純米大吟醸はこれぞ「秋上がり」。深みのある味わいと爽やかな吟醸香のハーモニーを楽しめる

④ 菊姫 加州菊酒
酒母:速釀、原料米:五百万石 精米:55%、17度未満、酵母自社バイオK7 日本酒度-0.5 酸度1.8 アミノ酸度1.5 23BY
特徴:地元の五百万石を使った新しいタイプの純米酒。酸味のエッジの効いたシャープな個性的な味わい。

⑤ 高砂 純米酒石川門
酒母:速釀、原料米:石川門 精米60%、アルコール:16度、酵母金沢系 日本酒度+1 酸度1.5 アミノ酸度1.3 25BY
特徴:石川県産の酒米「石川門」と、金沢酵母で醸した芳醇な味わいの純米酒。

⑥ 天狗舞 吟仕込純米酒
酒母:速釀、原料米:夢錦 精米:55%、16度未満、自社バイオ酵母 日本酒度+3 酸度1.4 アミノ酸度1.2 25BY
特徴:熟成した香りと米の旨味が調和する純米酒で、濃い色調も特徴。

⑦ 萬歳楽 剱 山廃純米
酒母:山廃、原料米:五百万石 精米:68%、16度、酵母協会7号 日本酒度+6 酸度1.8 アミノ酸度1.5 25BY
特徴:山廃酛ならではの旨みや酸が十分にのり、かつキレがよく燗上がりの山廃純米酒。

⑧ 高砂 特撰 本醸造
酒母:速釀、原料米:石川門+雄町 精米:60%、16度、酵母協会9号 日本酒度+3 酸度1.2 アミノ酸度1.3 25BY
特徴: 日本酒本来の味わいが楽しめ、熱燗にも最適。

⑨ 菊姫 連峰白山 (普通酒)
酒母:山廃、五百万石 精米:70%、16度未満、自社バイオ酵母KA7 日本酒度±0 酸度1.5 アミノ酸度1.5 25BY
特徴:白山麓産五百万石で醸した味わい豊かな普通酒。

⑩ 特別純米 手取川
酒母:速醸、原料米:山田錦 精米:60% 15.8度、酵母金沢系 日本酒度±0 酸度1.4 アミノ酸度1.4 25BY"


③の「手取川」山廃純米大吟醸はもちろんですが、⑧「高砂」本醸造、⑨「菊姫」普通酒 も評価高ったようです。




 
 今月の会場は  酒味処 「きの字

「金時草おひたし」。石川の“加賀野菜”の代表格のきんじそう! 葉の表は普通に緑なのに、裏が紫色なので湯がくとこうした鮮やかな一品になります。

これはたたきではなく「天然真鯛と鰹 焼きちり」鰹には薫味も効いていて、ポン酢がよく合います。

泉州産玉ねぎ
「モツ煮込」。隠しに粕が効いてました。


「みぶ菜と紅大根 魚汁炒め」。イシリも能登から福井にかけての、魚醤です。きの字さん、ちゃんとお酒にコラボしてくれていて、嬉しい限りです。

ちょいと写真では伝わりにくいですが「加賀れんこん チーズ焼き」。銘々にオーブンで焼いて、熱々を!


「秋刀魚 梅酒煮」。まさに旬ですね。


石川産の「甘エビ 漬け」。ちょっとした溜りの塩気が、後半の酔っぱらいの肴には最高です。  
玉子とじそば
そして締めを意識した「天蕪とお揚げ 煮物」。少し汁が多めも、仕事でしょう。


食事は「きのこ雑炊」残念ながら写真が無いですが、満足満腹。ごちそうさまでした!

(2014年11月26日水曜日開催)


企画をお願いした山本さん、少し体調が優れず残念ながら不参加でした。でもお陰で、白山菊酒を体系だてて味わうことができました。
仕入で協力いただいた酒販組合さんや汐井酒店さんもとても親切で、日本初の原産地呼称のお酒を活気づけようと熱意が伝わってきました。こうした地域あげての取り組みは、心地よいです!





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