
今月は、福井県永平寺の「白龍」にお越しいただきました。
白龍の蔵元『吉田酒造』は、江戸時代の文化3年1806年の創業。
創業以来、山紫水明の地・福井・九頭竜川のもたらす滋味ゆたかで、肥沃な大地、そこで育つ米と水で醸してきました。
しかし、ほんの10数年前までOEM生産(いわゆる桶売り)が主体で、特定名称酒を作り始めたのも歴史が浅いのです。
その間も、何回か杜氏が変わり、そして昨年(25BY)の造りから、新たな杜氏に蔵を託しました。
それが、今回ゲストをお越しいただいた、井尾光洋杜氏です。
杜氏1年目の酒を、我々は飲むことができました!
おそらくそれ以前の「白龍」とは、酒質が違うと思います。井尾氏自身は南部杜氏に席を置いてはいるそうですが、
造りを学んだのは島根の石見杜氏の流れ。それまでの、南部杜氏や地元の杜氏の酒質とはまったく違っていると言ってもいいのかもしれません。
まさに、新生「白龍」を味わうことができたのです。
その味が、実に素晴らしい。
1年目とは思えない出来栄えでした。
まだ、白龍らしさといえるほどの統一感は無いのかもしれませんが、
昨今、多くの酒蔵がブランドを替えてまったく酒質の違うシリーズを敢えて出してきている傾向から言えば、
多少のバラつきはなんら減点材料ではありません。
むしろ、これからの「白龍」を占う、幾つもの引き出しを提示してもらった、、というべきかもしれません。
何年後かに、『1年目の、あの1本が原点』という、“白龍らしさ”が生まれているに違いありません。
日本酒製造にとっては、激動&過酷な環境のこの20年を経て、
酒蔵が生まれ変わる瞬間に立ち会えたような、そんな感動の夜でした。
コーディネートしてくれた、西村さん、ありがとう!
<酒選テーマ>
蔵元を囲む「白龍」 吉田酒造杜氏・井尾光洋氏 コーディネート:西村志保
【出品酒】(写真右から)
●大吟醸40 (精米率40% 自社栽培山田錦)
●大吟醸 (精米率50% 自社栽培山田錦)
●純米吟醸 (麹 山田錦 かけ米 五百万石) ※青い瓶2本
●特別純米酒 (自社栽培山田錦) ※茶色の瓶2本
●純米生原酒 (掛米 華越前(飯米)) ※「生酒」肩ラベルの2本
●純米酒 (山廃造り 蔵付き酵母)
●純米酒磨き9割 (純米酒低精米)
●本醸造原酒 生
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