第87回《1998年1月より通算181回》 日本酒と料理を楽しむ会
2012年9月26日開催

飲み干した銘酒稀少酒と、 「酒徒庵」の料理




今月は、椿阪酒選人の企画で
長野県産の酒米(酒造好適米)「美山錦」を飲み尽くそう! でした。

長野県は、飛彈山脈、木曽山脈、赤石山脈などの山々によって分断され、多数の盆地が形成されています。

人々は、その中で営みを続けてきたのですが、日本酒もそれぞれの地域と結びついて造られてきました。
その美しい山野では、80余りの酒蔵で日本酒が造られています。

これは新潟県に次いで2番目(日本酒造組合中央会)に多い酒造蔵の数です。
一方、製造量(課税ベース)は全国10位(国税庁)。小さな蔵が頑張っていることを物語っています。

長野県の酒を飲もうとすると、必ずお目にかかるのが「美山錦」ではないでしょうか。
美山錦は、長野県が奨励品種として育てあげた酒米です。
耐寒性に優れているので、東北各地でもたくさん作られていますが、美山錦の性格を知り尽くした、
本家長野県で造られる「美山錦」の真髄を味わい尽くしました。

【美山錦】
1978年長野県農業試験場で開発された酒造好適米。父方に「亀の尾」の流れをくむ「東北25号」、母「北陸12号」の掛け合わせから生まれた「たかね錦」に放射線処理を行ない、突然変異によって誕生した。
その酒造好適性と耐寒性から、東北、北陸など長野県以外の寒冷地でも広く普及。「山田錦」「五百万石」に次ぐ、第3位の品種となっている。
ただ、この10年は各県が独自の酒米品種を生み出して振興していることから、「美山錦」は減少傾向。「出羽燦々」(山形)、「吟ぎんが」(岩手)、「秋の精」(秋田)、「夢の香」(福島)などは美山錦の子孫。


<酒選テーマ>
 「美山錦を飲み尽くそう!」   企画: 椿阪 信弥

出品酒(写真左から)

●酒ぬのや本金酒造(株)〔諏訪市〕《諏訪エリア》
 「本金 大吟醸 おりいちびきしあげ」 長野県産美山錦39%精米、長野酵母C
 宝暦6年(1756)創業と250年の歴史を持つ蔵で、この「本金」と「辛口太一」を醸す。

 日本酒を使ったスイーツにも取組中。

●舞姫酒造(株)〔諏訪市〕《諏訪エリア》
 「翠露 純米吟醸」 長野県産美山錦55%精米、自社酵母
 明治27年(1894)、味噌醤油醸造から分家して「亀泉酒造店」を創業。

 大正天皇即位を記念して、社名および銘柄を「舞姫」と改める。

●和田龍酒造(株)〔上田市〕《上田エリア》
 「登水 純米吟醸」 美山錦49%精米、協会1501酵母
 上田城址のすぐ近く、旧北陸街道沿いに明治20年創業。代表銘柄「和田龍」。


●宮坂醸造(株)〔諏訪市〕《諏訪エリア》
 「真澄 七号」 長野県産美山錦45%精米、7号酵母
 寛文2年(1662)創業した、長野県を代表する銘柄「真澄」を醸す。協会7号酵母が発見された酒蔵。


●(株)丸世酒造店〔中野市〕《中野エリア》
 「旭の出乃 勢正宗 もち米熱掛四段仕込 純米無濾過生原酒」
 長野県産美山錦+ヒメノモチ 70%精米、協会14号酵母
 明治3年創業、信州中野の街中で古い作り方の餅米四段仕込みを頑なに守る酒蔵。


●(株)仙醸〔高遠町〕《伊那エリア》
 「黒松仙醸 こんな夜に… 山女 純米吟醸 生酒」 22BY 信州産美山錦55%精米、長野酵母D
 高遠城下で幕末慶応2年(1866)から「仙醸」を醸す、ハイテク化の進んだ酒蔵。


●(株)湯川酒造店〔木祖村〕《木曽エリア》
 「十五代九郎右衛門 純米吟醸 無濾過生原酒」 長野産美山錦55%精米、協会9号酵母
 中山道木曽路の薮原宿で江戸時代初期慶安3年(1650)から酒造りを続けている。

 “星に一番近い蔵”。代表銘柄は「木曽路」。

●高沢酒造(株)〔小布施町〕《長野エリア》
 「豊賀 純米吟醸 ひやおろし」 美山錦49%精米、長野酵母D
 小布施の中心街から少し離れた静かな環境の中、家族で「米川」「豊賀」を醸す。
明治35年(1902)創業。

●笹井酒造(株)(松本市)《松本エリア》
 「笹の誉 純米 無濾過生原酒」 低精白80% 22BY一年熟成(仕込みNo.30)
 松本市新村産美山錦80%精米、協会901号酵母
 明治38年(1905)創業。地産地消を目指す、生産する300石の80%が生酒というチャレンジ精神旺盛な酒蔵。

●笑亀酒造(株)〔塩尻市〕《松本エリア》
 「嘉根満 純米 無濾過生原酒 弐阡拾年」(22BY) 契約栽培(減農薬)美山錦65%精米
 中山道塩尻宿の陣屋跡で明治16年(1883)「嘉根満本家」として創業。
 信州産美山錦にこだわりを持つ。代表銘柄は「笑亀」


 今月の会場は 干物と牡蠣「酒徒庵
  

「大根ソロボ餡かけ」。秋ですな!

「茄子煮浸し」削り鰹とすり生姜で。

これも秋旬全開。「烏賊と里芋煮」。
「秋刀魚の立田揚げ」。ししとう添え。
「地鶏の燻製」。はじ噛み添え。


最初のer月。「牡蠣のコキール」。
食事は「きのこうどん」。ごちそうさま!

 
(2012年9月26日水曜日開催)

“餅米四段仕込み”面白い酒でした。甘いけど、旨味に振れて、いい出来。美山錦との相性もいいのでしょう。


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