
今月は、岡山浅口市から「丸本酒造」をお招きし、改めて“日本酒における地酒とは何か”を考えながら、
地酒を体内に取込む作業をみなで楽しみました。
丸本酒造は岡山倉敷と広島福山の中間、鴨方という里で1867年創業されました。
代表銘柄は「かもみどり(賀茂緑)」。
後背にそびえる竹林寺 山の伏流水がよく、清水屋と号した時代もありました。
代々、進取の精神が旺盛で台湾に支店を設けたり近代的設備を導入したり。82年には「賀茂緑」が30年連続の岡山県杜氏自釀品評会優等賞を受けます。
そして現在は、酒米作りに邁進しています。
全国のほとんどの蔵は、高級酒を造るとき山田錦を選び原料を地域外(多くは兵庫岡山など)から輸入しますが、
それでは地酒ではないと、疑問を持ちます。
蔵が蔵前に自らの自社栽培田を持ち、蔵人全員で米づくりに挑戦する。
まるで、ワイナリーが自らブドウを育てその善し悪しでワインの出来が決まる、そんなイメージで
米を育てる。酒屋が育てる米だから、酒造りに適した育て方が出来る。
どのタイミングでどんな肥料を与え、田の水温を何度に保てばいい酒米が出来るか、数値を計りながら経験を重ねていく。
そうした米を原料に醸された新シリーズが『竹林』です。竹林は全量、自社栽培米を使っています。
ワインの世界に、“ドメーヌ”という概念がありますが、
今後日本酒がさらに世界に打って出る時、ドメーヌと冠せられるのは『竹林』のような造り、、だけかもしれません。
真の地酒とは何か、とても考えさせてくれる酒『竹林』です。
今回は、特別に
蔵人が米づくりを毎年重ねたからこそ見えて来た、酒米の非常識を
第6代蔵元丸本仁一郎氏から(お酒を入れる前30分間)講義を受けました。
明治以降の教育で、日本は米づくりが基礎だったと教わりましたが、穀物検査の等級の判定基準から生じる農家の“良しとする米”と、酒造りにおける“良い米”が、1本の線上に無いことに衝撃を受けました。日本人は、ひょっとしたら米づくりのプロでは無いのではないのか?
こうして“業界”全体が認識を新たにしてようやく、本当に意味でのドメーヌ=地酒ができるのではないかと、思った次第です。
丸本酒造、ありがとう!
<酒選テーマ>
蔵元を囲む「竹林」 ゲスト:第6代蔵元 丸本仁一郎 氏 『賀茂緑』丸本酒造
【出品酒】(写真上段左から)
1)花泡々酒 米にローズヒッピとハイビスカスを加えて発行させた発泡酒 Alc5%
2)竹林 たおやか 純米大吟醸 自家栽培山田錦35%精米 生貯蔵
3)竹林 かろやか大瀞 純米大吟醸 自家栽培山田錦50% 中ぐみ生原酒
4)竹林 かろやか 純米大吟醸 自家栽培山田錦50% 「大瀞」の火入生貯3年モノまでのブレンド
5)竹林 ふかまりオーガニック 純米吟醸 自家栽培“有機”山田錦50% 日米欧すべてで有機認証米はほかにはない
6)竹林 ふかまり瀞 純米吟醸 自家栽培山田錦60% 中汲み生原酒の1年低温熟成
7)竹林 ふかまり 純米 自家栽培山田錦60% 2度火入 竹林の基本銘柄,3年〜8年熟成をブレンドした商品
8)かもみどり 純米丸本酒造の伝統銘柄
多くの銘柄が,冷やよりも燗上がりする味。
3)大瀞もぬる燗で◎、5)かろやかオーガニックも冷やでは淡麗だが,燗して深まりが出た、
6)ふかまり瀞は熱燗で本当に美味しくいただけました。
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