第221回《1998年1月より》 日本酒と料理を楽しむ会
2016年1月27日開催

飲み干した「田从」、そして「京矢」の料理


今月は、
「田从」で知られる舞鶴酒造から、
この会では5人目の女性蔵元杜氏・工藤華子さんにお越しいただきました。
秋田県唯一の女性杜氏、しかもこの仕込みの時期にお出でいただける喜び
希少な体験、参加できた方はラッキーでした!

伝統銘柄は「朝乃舞」。
創業当時、蔵の傍らの遊水池に、毎朝鶴が飛来し天空を舞ったことに因み命名されました。
工藤さんは蔵元の2人娘の長女。嫌だった家業を継ぐ決心をしたのは、東京農大短大在学中。
日本酒の奥深さに気付いたのだと言います。
そして蔵元見習いとして経営を切り盛りしていた頃、さらに転機が訪れます。
吟醸酒ブームに疑問を感じ、純米酒だけを造ろうと蔵の方針を大転換したのです。
「田从」は工藤さんが自ら杜氏として醸す酒として、2002年に誕生しました。
「从」の字は、古代中国文字で人が集う様を表します。米を作る人、酒を造る人、売る人、味わう人の関わり合いを忘れまいという願いから、名付けられました。

『手抜きをしない手造りで鑑評会に媚びず、「本物の純米酒」を消費者にお届けしたい。
米の旨みをしっかり出し存在感のある、なおかつ、飲んで幸せを感じられる「ほっとする酒」を醸していきたい
と考えております。
酒質は、冷酒で呑むよりも常温〜お燗で呑むと美味しさが増す酒です。
寒さの増す、1月に是非お燗で呑んでいただきたいお酒です。』
蔵元杜氏がおっしゃるまま、ほぼすべてお燗でいただきました。
ほかの蔵にはない、とても個性的な酒質であることが、よく分かりました。

工藤さんが関東の試飲会に出て来られるのも、例年は
8月のリーガロイヤルホテルで開催される「純米酒燗 夏の宴」と、
10月の足利で開催される「ばんな寺純米酒祭り」の2つだけだそうです。



<酒選テーマ>
蔵元を囲む「田从」 ゲスト:工藤華子氏 コーディネート:内田佐登美さん
 舞鶴酒造株式会社 秋田県旧平鹿町(現横手市)浅舞

【出品酒】(写真右から)


●15BY山廃純米酒無濾過生詰 千葉産五百万石60
●16BY山廃純米酒 秋田産ひとめぼれ60
●16BY山廃純米酒無濾過生詰 秋田産ひとめぼれ60
●17BY山廃純吟秘蔵古酒 美山錦50%
●17BY山廃純米酒無濾過生詰 ヨネシロ65
●18BY特別純米酒無濾過生詰 秋田産ヨネシロ65
●20BY山廃純米酒無濾過生詰 徳島産山田錦70%
●純米酒



右から2番目の「16BY ひとめぼれ60」は、独特にして秀逸でした。お燗すると、梅酒のような香が立ち上がり、とても約10年経っている熟成酒とは思えない美味さでした。


 今月の会場は  旬酒場「京矢」銀座店  
  


お刺身は「平目昆布〆」と脂ののった「鰤」


お通し「粕汁」。胃袋をあっためておいて、お燗オンパレードに備える。

泉州産玉ねぎ
煮物は「モツ煮込み」


八寸。左から「安肝ポン酢」「子持ち若布」「栗甘露煮」「ピリ辛蒟蒻」

「焼き竹の子」「酢取蓮根」「金平牛蒡」


「貝焼き」中味は、鶏肉、粟麩、海老、蚕豆に、蕗味噌を載せて。


揚げ物は「若さぎ唐揚」と「蟹真丈」  
玉子とじそば
食事は「梅温麺」。




(2016年1月27日水曜日開催)

美智子さん
女性杜氏の造る酒、、というイメージは一般的には、華やかで香り高く淡麗、、かと思いますが、賛辞を込めて『裏切られました』
。この独自の素晴らしい酒造りを今後も続けて欲しいです。今まで、1杯ずつ飲んでいては分からなかった「田从の世界」を堪能できました。




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