
今月は、
秋田の「NEXT5」と呼ばれる 5つの蔵を特集しました。
「白瀑」 「ゆきの美人」 「春霞」 「一白水成」 「新政」
日本酒は、その造りにおいてイノベーションが起こっていると言えます。
その一つの要因が、醸造技術情報の共有ではないかと考えています。
これには、蔵の経営のイノベーションも大きく関係していて、
この30年:
日本酒が売れない →蔵の規模の縮小 →製造システムの変容(杜氏が雇えなくなった)
→蔵元杜氏システムへの変換(経営者が製造責任者を兼ねる)
→後継者(蔵元の子息)が同じ農大醸造科などで学び →ネットワークで関係が密になる
といった背景があると思います。
若い蔵元同士は、ライバルでありながら、同窓・先輩後輩・同じ課題を抱える良き仲間
という関係の中で、成功や失敗事例、新しい試みなどを共有し、かつ刺激しあって
驚くほどのスピードと多様性で、酒質に革新が起こっているのは間違いないようです。
まあ、簡単にいえば、
全国各地に、挑戦的な蔵元グループが生まれているわけです。
その中から今回は、秋田のグループを利くことにしました。
秋田県には約30の蔵がありますが、若手蔵元5人が思いを持ち寄り
「ネクスト5」を結成したのが2010年。
『共同醸造プロジェクト』では、酒造の主要工程を各蔵がリレー形式で分担して一つの商品を造るという試みも。
毎年、一瞬で売り切れる人気でだそうです。
そして、各蔵が刺激を受け新たな着想を得て、新しい商品を生み出す。
とてもよい循環になっています。
秋田には銘醸と言われる蔵が数多くあり、「新政」などはそれに数えられることもありますが、
次世代になり、新たな風が吹いているようです。
今月は、その風を存分に浴ぶるという趣向です。
<酒選テーマ>
秋田「NEXT 5」 を利く
【出品酒】(写真左から)
①新政 NO.6 S-type “純米吟醸”クラス 生
県産酒造好適米 協会6号酵母 精米: 麹米40%, 掛米50% 日本酒度±0 酸度1.8
②新政 NO.6 R-type “純米”クラス 生
県産酒造好適米 協会6号酵母 精米: 麹米40%, 掛米60% 日本酒度±0 酸度1.8
①②は「新政酒造」(秋田市大町6)
③一白水成 槽垂れ純米吟醸生 無濾過原酒
『白い米と水から成る一番』の酒 五城目酒米研究会「美山錦」 精米50% 日本酒度+2 酸度1.2
④一白水成 特別純米 無濾過原酒 生詰瓶燗火入
酒こまち 精米55% 日本酒度+3 酸度1.4
③④は 「福禄寿酒造」(五城目町)
⑤山本 うきうき純米吟醸生
白瀑 山本シリーズ「春」の定番酒 酒こまち ほんのりおりがらみ
⑥白瀑 山本 純米吟醸生原酒
別名「山本ピュアブラック」 ANAの1st クラスに採用 酒こまち 精米: 麹米50%, 掛米55% 日本酒度+2 酸度1.8
⑤⑥は 「山本合名」(八峰町)
⑦春霞 栗ラベル純吟無濾過生
酒こまち 蔵付き分離「亀山酵母」 精米50% 日本酒度+1 酸度1.6
⑧栗林 りつりん 純米生酒イエローラベル
美郷錦 蔵付き分離「亀山酵母」 精米60% 日本酒度+2 酸度1.6
⑦⑧は 「栗林酒造」(美郷町)
⑨ゆきの美人 特選純米吟醸 800 本限定
山田錦+酒こまち 精米50% 日本酒度+3 酸度1.8
⑩ゆきの美人 純米しぼりたて 生 無濾過原酒
四季醸造も可能な蔵の、寒仕込 山田錦+酒こまち 精米60% 日本酒度+6 酸度1.8
⑨⑩は 「秋田醸造」(楢山登町)
残念ながら、『共同醸造プロジェクト」は発売予定1ヶ月前ということもあり、今回手に入りませんでした。
また、新政No.6も「X type」という大吟醸クラスがあって本当は乾杯酒をそれにしたかったのですが、今年も早々と売り切れで入手困難。
次回、また飲みたいですね。
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