第248回《1998年1月より》 日本酒と料理を楽しむ会
2018年4月25日開催

飲み干した「角の井 百合仕込み」、そして「柏庵」の料理



今月は、大分日田市から「井上酒造」にお越しいただき、新たな伝統の始まりを 身体に染み込ませたいと思います。

井上酒造は、1804年創業。以来、山と平野に囲まれた日田市大鶴の地で、
こつこつと伝統銘柄『角の井』を造り続けてきました。
酒の要は「水」。井上酒造の仕込み水は、蔵のある大鶴谷周辺の耶馬渓層と呼ばれる火山岩で
ゆっくりと濾過された清澄な水。
地層の化学作用で生じたミネラル分のバランスがとれた最高の水質になっています。
2016年に国の登録有形文化財に指定された木造の蔵を擁する工場から生まれるのは、
平行複発酵による、まろやかで旨口の酒。伝統の技で丹精込めた酒造りを行っています。

その老舗蔵に、いま、七代目杜氏井上百合が就任。
新杜氏が米から手掛ける、その名も『百合仕込み』が新たな伝統に育とうとしています。
良質の籾から苗床をつくり、蔵内に湧いた仕込み水で育てる。
眼と手で仕込む、わずか200キロの極小造り。敢えて機械を使わない手搾りで。
澱を沈め、上澄みだけをそっとすくったら、品質を優先した瓶燗の火入れを行う。
甘酸っぱく、キリリと芳醇な仕上りは、冷やで良し燗で良し。
無濾過のため微かに澱が残る。
酒蔵の誇りを取り戻すべく、蔵のシンボルとしてこれから積極的に発信されます。

百合仕込み』の誕生に合わせ、井上酒造では2016年、ロゴマークを一新。
折しも、2017年九州北部大豪雨で日田市は大災害を受け、井上酒造も免れることはできませんでした。
百合さんが東京から実家に戻り、さあ、という2年目。
それでも、明るく復興を目指す女性蔵元に敬意を表します。
今後、ラベルから空間まで、これまでの時間の蓄積を尊重した穏やかなリニューアルを進行させます。
新たな商品開発を含む、全ラインナップの見直しもスタート。

革新の始まりのキーマンを囲み、共に歴史を刻みましょう!



<酒選テーマ>
蔵元を囲む「角の井 百合仕込み」 ゲスト:井上酒造 第7代目蔵元 井上百合 氏

【出品酒】(写真左から)


◯(五)百合仕込み 無濾過秋上がり(特別純米)
◯(四)百合仕込み 無濾過生原酒(特別純米)
◯(七)百合仕込み 無濾過生原酒(純米大吟醸)
◯(八)百合仕込み 無濾過生原酒(純米吟醸おり酒)
◯乾杯酒  ATIHO ゆずはちみつ梅酒
◯(弐)角の井 寒山水仙(吟醸)
◯参考 麦焼酎 初代百助(熊本国税局種類鑑評会10年連続雄東賞受賞)
◯(参)角の井 純米吟醸(純米吟醸)
◯(六)角の井 大吟醸

やはり「百合仕込み」が、今風に設計され美味しかったです。特に(四)の特別純米、冷やでよく燗して上がりました。




 
 今月の会場は そば・割烹「柏庵 
  


先付け、「つぶ貝煮付け」「出し巻き卵」「明太子燻製」


「枝豆どうふ」(?)、「◯?チーズ」

泉州産玉ねぎ
椀「若竹に白身魚」


焼き物「黒メバル」、お1人1匹

 


煮物「鰈と新牛蒡」


揚物は「海老のかき揚げ」だったかな?


お造りは「石垣産生鮪」「鯛」「つぶ貝柱」「鰯」  
玉子とじそば
食事は柏庵もちろん「お蕎麦」

玉子とじそば
デザートは五味さん最近お気に入りの“赤酒”シロップの「プディング」


(2018年4月25日水曜日開催)


左が、7代目当主の百合さん。明るく、素直で、おかしな愛すべき方です。家業を継ぐことになり、一から酒造りと米づくりに取り組んでいらっしゃる。水害にあっても、笑顔を絶やさずに、、。いい酒ができるはずです。右は蔵人の、石松さん。自ら酒造りの仕事がしたいと飛込んで、この日が初めての出張。いいチームワークでした。



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