第98回《1998年1月より通算192回》 日本酒と料理を楽しむ会
2013年8月28日開催

飲み干した銘酒稀少酒と、「醇」の料理


 				  
 				  

今月は、
奈良の奥座敷吉野から「美吉野醸造」杜氏の橋本専務にお越しいただきました。

ブランドは「花巴」。
こちらも小さな宝石のような蔵なので、ごく少量を“熟成”を重視して造っておられます。
熟成がひとつの柱ならば、もうひとつの柱が「酵母無添加」。
大手蔵がプロダクトとして作り始めた、酵母や乳酸菌添加による大量生産製法とは
真逆を行く、蔵付きの酵母のみで「酵母無添加 花巴」シリーズを醸しています。

酵母無添加の山廃仕込みは、新酒の時期は際立って酸味があり、粗さが目立つものの、
熟成を進めることで味わい深い旨味系の酒に仕上げていきます。

さらに面白いのが、
無添加の古来製法にこだわりながら、「速醸もと」を使い、銘柄にも速醸を記したお酒を作っていること。
この、半ば不思議な品揃えを、杜氏自らの思いを聞きながら、味わいました。

結果、飲み始めたら、止まらない停まらない。締めの時間を過ぎても、帰らない帰らない。
それほどに、どれも美味しい酒でした。「速醸もと」づくりも、乳酸を添加すると酒税法上表記しないといけない理由で肩ラベルを入れているのですが、大手蔵の工業製品とは全く別物。満足できる酒母を作るための乳酸添加であって、速醸どころかじっくり時間をかけて力強い酒母を造っているのでした。
「水もと」という不思議な製法も、古代のお寺さんでの醸造法「菩提もと」を橋本さん流にアレンジしたもの。米を水に浸して、いわば腐らせて乳酸を作り酒母を造る方法。杯を口に持ってくると、発酵食品のような独特の香りがして、しかも旨い。

いい仕事をしています。

なお、橋本さんは、西村さんの紹介でお招きすることができました。



<酒選テーマ>
 蔵元を囲む「花巴」 酒撰:美吉野醸造 杜氏 橋本晃明専務 推薦:西村 志保

出品酒(写真左から)

●山廃純米吟醸「備前雄町」火入22BY
●水もと純米 生原酒24BY
●山廃本醸造ひやおろし生詰原酒24BY
●速醸純米「山田錦」 生原酒24BY
●山廃純米「備前雄町」 生原酒23BY
●山廃純米吟醸「五百万石」 火入23BY
●「はなともえ 弓絃葉」山田錦 純米吟醸 生原酒24BY
●水もと純米 火入15BY
●「酵母無添加 南遷」オーガニック(山廃純米)火入22BY
●「長期熟成古酒」1988年(720ml)
写真にはありませんが、もう1本飲みました。
●「はなともえ 弓絃葉」純米無濾過生原酒 24BY





 今月の会場は 和酒Bar&Dining「
  

枝豆とひじきの「白和え」。さすが醇さん、1品目から旨い。

「ポテサラ」。ひと工夫あって、日本酒のアテに申し分なし。

泉州産玉ねぎ
「カツオたたき」。美しい、紫がかった色は仕入れがいい証拠。


「ホルモンの粕汁」。参った! いいね。

「白身の竜田揚げ」。そっと、茄子の素揚げと季節の野菜を添えて。



魚介の「豆乳スープ」。酔ったいい頃合いに出てきて、腸に染みこむ〜!

締めの「じゃこチャーハン」。ごちそうさま。

(2013年8月28日水曜日開催)

橋本さん、いい仕事しています。作りも販路開拓も、ご自身でコツコツとこれから。応援します!





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