
今月は、
灘の老舗大手蔵『剣菱』を囲み、年末らしく 華やかな締めくくりとなりました!
『永正2年(1505年)創業
「止まった時計でいろ」という家訓の元、いつの時代も流さされず剣菱の味を守りぬく
その為には努力は惜しまず、日本で唯一、酒造用道具製造の木工所や米の検査機関を自前で揃え、
手造りにこだわり90人の蔵人で、90%以上を山廃の製造を支え、
貯蔵期間は平均2年半といった独特の製法技術を持つ蔵。
歴史に裏付けされたその味をぜひお楽しみください。』
ミドル以上の愛飲家は『剣菱』で日本酒を覚えた、、、方も多いのではないでしょうか?
しかし、居酒屋に置いてある銘柄は大概 1種。ずらりと並べて、しっかりと利き分けたことのある方は、逆に少ないでしょう。
500年の歴史、その間紆余曲折があるのは当然、最近では阪神淡路大震災で酒造8蔵のうち7蔵を失うという被災も経験。それでも、剣菱が剣菱たる所以は、その味を変えてこなかった誇りだという。
今一度、地酒ブームや吟醸酒ブーム、精米合戦とその反動、といった時の流れの中で、『剣菱』を座標軸として飲んでみることは、意義あることではないでしょうか。
当日は若き当主、白樫政孝氏にお越しいただき、歴史とともにその味を喉に刻むことができました。
『剣菱』の孤高の独自性と、その品質の高さ(旨さ)に とことん 感じ入った年末でした。サイコー!!
<酒選テーマ>
蔵元を囲む「剣菱」 ゲスト:剣菱酒造 蔵元 白樫政孝氏
【出品酒】(写真左から)
1)剣菱
原料米:兵庫県産山田錦、愛山、岡山県産雄町、島根県産改良雄町等 貯蔵期間約1年~4年ほどのものをブレンド
2)黒松剣菱
原料米:兵庫県産山田錦、愛山 貯蔵期間約1年~5年ほどのものをブレンド
3)黒松剣菱 樽酒
黒松剣菱を約10日ほど樽につけた商品、非売品 原料米:兵庫県産山田錦、愛山
4)極上黒松剣菱
原料米:兵庫県産山田錦、愛山 黒松のブレンド違い。貯蔵期間約1年~5年ほどのものをブレンド
5)瑞穂
原料米:兵庫県産山田錦 純米系 2年から8年物のブレンド
6)灘の生一本
瑞祥のブレンドに使ったタンクを一本引きだしてきた本日唯一のノンブレンド。
山田錦の10年物古酒 純米系 原料米:兵庫県産山田錦
7)瑞祥
原材料:兵庫県産山田錦 純米系 年に一度販売する長期熟成酒 貯蔵期間は約5年~15年物をブレンド
以上のスペックを見ればわかるように、蔵の地場だけの限定流通「灘の生一本」を除けば、すべてがブレンド酒という独自の商品構成に、まず驚かされる。そして、通常商品は、本寺の7種のうちの樽酒と「灘の生一本」を除く、5種しかない。
一般的なお蔵さんのように、『居酒屋では1種類しか見ないけど、、実はいろんな商品を幅広く取り揃えているだろう』と、漠然と捉えていたのでこの商品ラインアップには驚きしかなかった。
こんな蔵は、おそらく他にない。
さらに、すべてが美味しいのは当たり前としても、この味の品質が伝統とともに引き継がれていること! もちろん200年前とは味は違うだろうし、近代、国税庁が酒行政を仕切るようになってコロコロ制度を変えるために、少しのブレはあっただろうけど、ずっとこの味をブレンダーの官能によって統一感を持って保ってきたことにも感嘆する。
5人のブレンダーが味を決め、最後は歴代の蔵元が候補5種類ほどの中から、ブレンド比率を決定するのだという。当然タンク1本1本、年ごとに微妙に味は違うわけだから、他の蔵にはないこのブレンダーの役割が剣菱を支えていると行っていい。
だからこそ、『剣菱』は特定名称を名乗っていない。どのタンクも平均50〜60%精米しているので十分に吟醸クラス以上なのであるが、ブレンドによって51%にあることもあれば49%になることもあって、いちいちラベルを書き換えるコストは無駄だと考えているからだ。500年、時計の針を止めてきた剣菱の酒造りに、ここ数十年の特定名称表示規定は、そぐわないのだ。
2)の『黒松剣菱』で十分旨い。常温で良し、熱燗で良し、燗冷ましで良し!
そしてちょっと贅沢したいときには、7)『瑞祥』がおすすめ。
こういう蔵には、オタク的なファンもいるものでして、今回は西田さんが“自家熟成”のコレクションの中から、『瑞祥』と『瑞穂』提供してくださいました。瑞祥は2002BY、瑞穂は2010BY。要は、中身は30年もののブレンドということになりますが、十分にうまく熟成されていました。お酒自体の品質が良いと(熟成に向くタイプだと)、10年20年全く問題ないですね。

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